金日成のパレード

ポーランド国営ポルテル社制作(1989年ポーランド作品)
アンジェイ・フィディック Andzei Fidyk 監督
1989年ライプチヒ国際記録映画祭グランプリ受賞

1998年9月12日〜10月2日にかけて東中野BOXで上映

<作品解説>
 この「金日成のパレード」は1988年、いまから10年前に朝鮮民主主義人民共和国の建国40周年記念式典に正式に招待されたポーランドの国営新聞社ポルテル社の取材班が記録した映像を元に構成されたドキュメントフィルムです。
 上に書いたライプチヒ国際記録映画祭グランプリの他にも様々な賞を受賞したそうですが、上映された映画祭の殆どで笑いを持って迎えられたといいます。

<コメント>
 一種のバカ映画。
 そういっても過言ではないでしょう。

 それはたとえば100万人大パレードの中で共和国の発展を示すように様々に飾り付けられた山車が何台も登場するのですが、その飾り付けであるとか。

    <例>
    ・スポーツの発展を示す山車では、その上で選手が卓球をしている
    ・漁業の発展を示す山車では、魚介類のかぶりものが踊っている(「踊る大竜宮城」みたいなの)。
    ・科学技術の発展を示す山車では、一昔前の特撮に出てくる秘密基地のようないくつものランプが点滅するそれっぽいパネルの前に白衣を着た人が居る

      などなど

 または金日成主席の偉大な業績をたたえる画集の紹介であるとか。

    <例>(ここでの「金日成同志」は「偉大な領袖金日成同志」の略です)
    ・金日成同志は道を行くおばあさんのために車をお止めになった。
    ・金日成同志は朝早くから起きて作付けを指導される。
    ・金日成同志は科学者達の難問を一瞬で解決される

      など(笑)
 その他に金日成主席の幼少時代を紹介するシリーズ(幼い日の金日成同志はこの岩の上で日本帝国主義から祖国を解放する志を立てられた。など何をしても「日本帝国主義から祖国を解放するための〜をした」で終わるというすさまじさ。これらはすべて、金日成主席の小学校低学年までの話である。)、金日成主席のお言葉を石碑にするシリーズ(たとえば共和国国内のホテルに泊まったとき、主席がそのホテルの料理からベッドメイクに至るまでを事細かに指導したときのその指導をホテルの前に石碑として立てるとか。)など様々に主席を讃えようとする姿勢はあらゆるものを通り越してギャグに到達しています

 ただ、何千人もの子供達によるマスゲームはすごいの一言。鬼気迫る感じがして引いてしまいました