見読聞飲食 その3

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ここは、見たり聞いたり読んだり飲んだり食べたりしたものへの雑感を
微妙にテイストニュース風に書いていこうかと思う場所です。
ここの文章は適宜他のコーナーに再利用していくことも視野に含めつつ。


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75
「アリーテ姫」 010727

 あたたかくて、泥臭くて、直球な作品。

 とにかく丁寧に丁寧に、色々な物を積み重ねていって、それを最後でも「壊さないで」ちゃんとまとめあげた、そんな「物語」。
 そこから僕が読んだのは、僕らは魔法で叶う3つの願いを無駄遣いしたっていいんだということ。
 魔法で叶えられなかった分の願いは、自分で歩いて取りに行けばよいのだということ。

 歩け、歩け。


 小学生の時に一度見て、途中で飽きて寝て(笑/でも小学生ならきっと寝ると思う。むしろ、寝ろ。)、10年後くらいにふと思い出してテレビでやっているのを見たり、あるいはDVDだかビデオだかで見返すというような見方ができれば、きっと幸せなんだろうな。

「アリーテ姫」
2000年/日本/105分
片渕須直監督


74
「Final Fantasy X」 010722

 あらかじめ断っておくと、これは総プレイ時間が60時間にも及ぶといわれるこの作品の最初のおよそ1時間30分(南の島について討伐隊がどうの、のあたりまで)のみをただ見ただけの人間によるレビューである。文句などはそこを踏まえた上でお願いしたいと思う。

 ビジュアルノベル。これこそまさにそう言うべきなのではないだろうか。
 マップにはどこに行くべきかが記されている。戦闘ではどう戦うべきかを指示してくれる。もう、わざわざ人がプレイをする必然性はないとすら思えた。オートプレイ機能なんかつけたら好評を博しそうだ、とか。

 もちろん、PS2を使えばここまで出来る、というのを見せるための装置としてはキッチリと仕事が為されており、その点は評価すべき。
 そこにわざわざ時間を消費させて物語を載せていくことに意味合いってなんなんだろう、とか考えない限りはきっと楽しめる、はず。

「Final Fantasy X」
2001年7月19日発売/SQUARE/PS2


73
「メトロポリス」 010722

 見に行ってから日は経ってしまったけれど。

 僕はこの作品を一個のパッケージとして評価することは出来ない。
 これが結論。
 たぶんそのうちTVでもかかるだろうけれど、見なくてもいいと思う。小劇場並の画面が確保できるというならともかく。
 この「メトロポリス」は劇場でみるとそのアニメートの素晴らしさにうたれると思う。けれど、それがなくなってしまったら、残るのは釈然としない感覚だけだろう。

 また別の言い方をすれば、手塚のエミュレートとしては成功しているかも知れないが、だからこそ総体としては失敗している気もする。

 CG表現など、今でなければ出来ない作品だったとは思う。
 しかし、今やることに意味があった作品なのか。

「メトロポリス」
2001年/日本/115分
りんたろう監督


72
八雲意宇「フォークソング」 010626

 同名ゲームのシナリオライターによる小説。読め読め、と云われていたのをようやく読んだ。
 ゲーム同様の「淡い」描写は非常に良い。ゲームをやっていなくても成立しているけれど、ゲームとをやった上で読むとより楽しめる秀作。

 描写の端々が格好良くて、文章として好きなのだけど、
「同じ駅四つ分でも、そっちの感覚とはかなり違うな」(P.194)
 というセリフに大分以前、地方からこちらに来た大学の人間が「時刻表要らないよね」と云っていたことを思い出してみたり。
 この「距離感」の差異は大事だ。そう思えた。

 以下、細部についてのどうでも良いかも知れない感想。
 横浜の描写の微妙な正確さ(例:通路の両側に改札がある)にふと道成の下宿はどの辺だろうかと考える。
 横浜、大学の近く、坂、バス道路沿い、階段。
 階段だけなら和田坂とかでもそうなんだけど、壮観といえるほどになると交通裁判所の方か、とか。浅間町の近くにも結構壮観なところはあるけれど、そこだとバスには乗らないだろうなぁ、とか(むしろ大学遠いし)。
 さらには歩の家はどのあたりなのだろう。一度乗り換えて、というともしかして緑園都市線なんだろうか。とか。とか。

八雲意宇「フォークソング」
ワニブックス/2000年4月25日初版
新書版/850円/ISBN:4847033450


71
伊吹秀明「猫耳戦車隊」シリーズ 010410

 タイトルと版元を見れば分かるとおり、立派なライトノベルという奴である。主人公は猫耳をつけた女の子と、猫の遺伝子を導入された亜人類の猫娘の面々。彼女たちが戦車に乗って戦うという、設定だけ聞けば壮絶に頭の悪そうな小説だが、実は戦車の入門に最適の小説。
 敵が謎の機械生命体という設定のおかげで敵性部隊は基本的に車両のみで構成されているため、随伴歩兵という要素が一切排除されたゲーム的、だが合理的な戦車戦の描写が行われている。

伊吹秀明「出撃っ! 猫耳戦車隊」
ファミ通文庫/2000年8月2日初版
文庫版/640円/ISBN:4757701411

伊吹秀明「猫耳戦車隊、西へ」
ファミ通文庫/2001年2月1日初版
文庫版/640円/ISBN:4757703074


70
梅本弘「ラストブリッツ1945」 010410

 以前に徳間書店より刊行されていた「エルベの魔弾」の新装版。
 1945年春のベルリンを舞台にしたとにかく地味、というか貧乏くさい仮想戦記小説。血湧かず肉踊らない話なのだけれど、ぐいぐいと読ませる文章はさすが。
 綿密な取材に基づいたベルリンの街の描写や、この著者一流の兵器の描写もさることながら、実は少年兵を主人公にしたことで良質のジュブナイルとしても評価できるように思うのだが。

梅本弘「ラストブリッツ1945」
学研歴史群像新書/2001年8月2日初版
新書版/640円/ISBN:4757701411


69
「北朝鮮歌謡曲集」(原題:「口笛(ふぃっパらむ)」) 010404

 駅のCDワゴンセールでまさか北朝鮮もののCDが手にはいるとは思わなかった(笑)
 CDの内容は邦題の通りで共和国の歌謡曲が12曲収録されている。朝鮮版「NOW GRATEST HITS」とでも言えばよいだろうか。但し中の音楽ははっきり言って古い。高い低いではない、古いのだ。特にシンセの使い方が異様に古くさい。シンセというより電子楽器と言うべきかもしれない。そんな雰囲気。
 なお、ここに歌が収録されている5人の歌手の歌唱力はみな非常に高いレベルにある。さすが共産圏
 オビなどは日本語だが、なかみの歌詞カードなどは基本的には直輸入版(レインボー通商、新世界レコード社などにある)とおなじもの。ワゴンセールものなので1800円と安かったが。
 なお、歌謡曲なので金正日を讃える歌は入ってません

「北朝鮮歌謡曲集」(原題:「口笛(ふぃっパらむ)」)
輸入元:Bukok Trading(韓国)/発売元:ミカサ通商(日本)
PEE-BUK-003/発売日不明


68
横浜美術館「近代彫刻−オブジェの時代」展 010328

 タートリンの制作した「第三インターナショナル記念塔」(あるいは「タトリン・タワー」)。その模型(タートリン自身が制作した模型を再制作したもの)が展示されているというので、行って来た展覧会。
 楽しむべきポイントは多いようにおもえたが、やはり記念塔の模型がそのサイズもあって圧倒的な存在感を放っていた。アレを見ることが出来ただけでも大いに満足。
 他にはガラスケース内に展示されていた小さい展示物への作品番号の添付の仕方がなかなかしゃれているなぁ、という感想もあるけど、それはもうどうでもいいか。
 ビバ・第三インターナショナル記念塔(笑)

横浜美術館「近代彫刻−オブジェの時代」展
2001年2月10日-2001年3月31日
横浜美術館


67
ブロッコリー「デ・ジ・キャラットコンサート in 横浜アリーナ」 010322

 でじこショウ。
 オープニングでいきなりダンサーが20名ほど出てきたときには「金かかってるなぁ」と思ったのだが。その使い方に大きな不満が………。モールのお化けみたいなものを使った余りにチープ、あるいは小学校の運動会のお遊戯的な演出は一体なんなんだろう………。
 さらにはPAのオペレートがダメダメ(ハウリングが複数回)だとか、イベントとしてのレベルはかなり低いのだけど、チケットの値段(テレカ付きのSS席が5000円、一番安いB席は1000円)を考えるにどうも物販イベントの付録程度のものらしいので、この程度とあきらめたほうがいいのかも知れない。

 このイベントがゲーマーズのでじこ戦略を概観するのには非常に良好なテクストであったことも否めないものであったことも事実。その観点からは非常に興味深いイベントであったことも付け加えておきたい。

「デ・ジ・キャラットコンサート in 横浜アリーナ」
2001年3月21日/主催ブロッコリーTBS


66
水戸芸術館「BITGENERATION 2000 テレビゲーム展」 010120

 これを誰に見せたかったのか。
 正直な疑問である。
 テレビゲームを美術館に持ち込むとどうなるのか、という意欲的な試みであったとは思う。けれど、やりたかった事と実際は大分乖離していたように思う。「テレビゲーム」を「展示」することの難しさ。
 映画ならば名画座やフィルムセンターのようにただ上映すればいいのだ。それで事が足りる。同時に多数の人を相手に出来る。けれど、ゲームはそうではない。ゲームは個とゲームとの対話(あるいは、「のようなもの」)である。それを展示としておいてしまうことには異論はない。だが、展示としてプレイ可能にされているゲームを始めたその瞬間に、プレイヤーとなった観客は展示から切り離されてしまうように思えた。
 展示後半、ひたすらプレイ可能な状態でそこにゲームが並んでいた。それはおもちゃ売場の試遊コーナーと、どこが違ったというのか。そこでプレイする観客は展示の意図を全く無視して「わー懐かしー」「そうそうこんなだった」と懐かしむか、あるいはただ新鮮に「へぇ」と思うか、どちらかだろう。
 確かにゲームはプレイしてみなければ「触れた」事にはならない。だが、あれならばわざわざ展示などという回りくどいことをせずに、エミュレータとROMイメージを入れたCD-ROMを配布しても変わらなかったのではないか。
 展示は展示として、もっと確固たる何かを提示しても良かったのではないか。

水戸芸術館「BITGENERATION 2000 テレビゲーム展」
2000年10月28日-2001年1月28日/水戸芸術館
BITGENERATION公式サイト
水戸芸術館サイト内の紹介コーナー


65
TVA「地球少女アルジュナ」第1回 010109

 今シーズンの一押し。
 ストーリーの方はまだ分からないけど、少なくとも作画面、ここまでCGを気持ちよく使ってくれると、もう。COWBOY BEBOPにも参加していたレアトリックがCGなんだそうで、納得はしつつ。
 観覧車とか、なによりバイクのシーンとか。
 話的にはエコロジーネタって言うのは結構政治的だよね、と思いつつも。

TVA「地球少女アルジュナ」第1回
2001年1月9日放送/テレビ東京/30分
地球少女アルジュネ公式サイト


65
TVA「グラップラー刃牙」第1回 010109

 板垣恵介のコミック「グラップラー刃牙」のアニメ化。原作の鬼気迫るような筋肉の書き込みと、その躍動感の描写をどうアニメに持ち込むのかが気になっていたアニメではある。
 第一回という事もあり、なかなか頑張ってはいると思う。とはいえ、今後ストーリーが進むに連れて作画が崩れていくようならば全くお話にならないわけで。いや、作画が崩れることは構わないのだけど、紙芝居になることだけは避けて欲しい。紙芝居アニメだったら、そんなもの見ずに原作を読めば済む話なのだから。
 ところで、このアニメに何か期待することがあるとすれば、それは、ドラゴンボールアクションを越える新しい「格闘動作」のアニメーションだ。そう思うのは私だけではあるまい。

TVA「グラップラー刃牙」第1回
2001年1月8日放送/テレビ東京/30分


64
TVA「テイルズ・オブ・エターニア」第1回 010109

 ゲーム「テイルズ・オブ・エターニア」のアニメ化作品。
 これを面白がって見る人というのは………、と思わずテレビの前で頭を抱えてしまった。回想パートの演出とか、頑張ろうとしているのは見えるんだけど、見えるだけ。空回り。だって、ねぇ。
 こういういわゆる「剣と魔法のファンタジー」っていうものについて、そろそろちゃんと考えませんか?直前の話とも関連するけど。

TVA「テイルズ・オブ・エターニア」第1回
2001年1月8日放送/WOWOW/30分
アニメ版公式サイト(ナムコ)


63
希有馬屋「ロボットMONO」 010107

 ある意味で評論最大手とも言える希有馬屋の2000年冬コミ新刊。
 まむがパートはどうでも良いとして(笑)今回の文章パートは「ロボットもの」がテーマ。
 今回、メインライターである希有馬氏が言いたかっただろう事は、細かいことをすっとばすと以下の文章に要約されるだろう。

 そうだ、革命はいつもロボットものとしてやってきた。
 だがそれはロボットものが、革命的リアリティでも付加せねば、作品として成立しないからなのだ

 ロボットが出てくるから面白いのではなくて、ロボットを如何に物語に定着させるかという行為、その中に生まれた奇跡のような輝きこそが、ロボットもの面白さなのだという、言われてみれば当たり前の論。
 そしてこれは、ロボットに限ったことではなく、色々なことにあてはまる当たり前の視点なのだ。僕らは誰も、それを忘れがちだけど。

「ロボットMONO」
希有馬屋/2000年12月30日発行
B5/表紙カラー/36P


62
シリーズ「日本人と太平洋戦争」第5回「一兵士の従軍日記」 001225

 12月18日に始まったシリーズの第5回。福井県鯖江に生まれ、そこでほぼ一生を過ごしたある農民が、戦地で兵士として書き残した日記を縦軸に構成されている。子や孫たちの証言がそれに横軸として加えられているが、それは余りに細く、目立たない様にも思えた。
 日記の記述は、あまりに強力で。
 特に強烈だったのは、おそらくは昭和12年の上海事変の際の2度目の出征での記述なのであろう、以下の文章。(ナレーションから起こしたので漢字などは適当)

「十月一三日。丁度一ヶ月前、ハルエと二人で福井へ遊びに行き、映画を見たり楽しく話し合って忘れ得ぬ思い出の日である。狭い壕の中で遙かな彼女のことを思ったり、故郷の家族の顔を偲んだり、今頃丁度稲の刈り取りでどんなに忙しいことだろうなどとあれこれと思いながら寝ころんでいる。」

 この言葉を初めとする、〈オリジナル〉の言葉の、圧倒的な力。
 体験や経験は知識としてしか伝わらないけれど。それでも。

シリーズ「日本人と太平洋戦争」第5回「一兵士の従軍日記・祖父の戦争を知る」
2000年12月25日放送/NHK/45分


61
堀江由衣「水たまりに映るセカイ」 001220

 今年のCDとしては丹下桜「SAKURA」と対等に戦えるくらい気持ちのいいアルバム。アイドル歌謡、というのはちょっと違うかも知れないが、これはこれでコンサートをやったら絶対楽しそうだ。
 特にTr.9「スコールクロール」、Tr.10「Happy Happy*rice shower -type yui-」の2曲の気持ちよさは群を抜いている。Tr.7「洗濯機の中から」つづく物語的シークエンスと相まって、それはもう。
 ダウソすればいいやなんていうそこのあなた。これは是非に買わないと(笑)

堀江由衣「水たまりに映るセカイ」
キングレコード/KISC 834/2000年12月21日発売


60
スリーエフ「中華街風 海老チリまん」「カスタードまん」 001220

 「中華街風」シリーズの新しい仲間は「海老チリ」。外見は少し大きめのあんまんといった風情。100円という値段ながら、しっかり「海老」しているのは非常に好感。チリソースもくどくないし。とはいえ、何か強烈な主張や印象があるわけでもなく。3点(/5点)。
 「カスタードまん」はヤマザキにしては珍しいデザートまん。クリーム色の皮の中にバニラ風味のカスタードクリームが入っているのだけど、皮とクリームの判別がつかない(笑)まるで初期の「じゃがバタまん」のごとく。そのため、皮にバニラ風味をつけていることがアダになり、なんだか皮ばかり食べさせられたような気分になる。2点(/5点)。


59
「シュリ」 001216

 人呼んで「踊る大朝鮮戦争」。結局劇場には行かず、TVで見ることに。
 予告編では納得できなかった色々なもののつながりが納得できた(笑)
 気持ちいいエンターテイメント。突っ込むべきところもたくさんあるんだけど、迫力とテンポにすべてが許されると言ったところか。あとちょっとで「お笑い」になってしまっていた可能性も否定できないけれど。それはまるで「ポリス・ストーリー」のように(笑)

 一つだけどうしても気になったのが字幕。「第八特殊部隊」じゃなくて「軍団」だよぉ。第八特殊軍団は一個軍団丸々特殊部隊という北朝鮮最精鋭の軍団(実在)なのだけど、「部隊」だと全然イメージが違うってば。いや、どうでもいいっていえば、いいことなんだけどさ。

「シュリ」
1999年/大韓民国/124分
カン・ジェギュ監督


58
ポプラ「鹿児島黒豚まん」「ベーコンポテトシチューまん」 001216

 前者は「伊勢赤鶏照焼まん」にも通じるものがある、地方名産品系の中華まん。メーカーは同じ井村屋。薄目の味付けの肉まんで、外見も普通に肉まん。お肉が美味しかった。130円。3点(/5点)。
 後者はサンクスの「じゃがバタ」に似ている。皮はあんまんと同じで、識別点は不明。敷紙の色かも知れない。あんの色はすこし濃いめ(茶色のわずかに入った)のクリーム色。味はというと、じゃがバタまんの塩味をきつめにしたような感じ。ベーコンは少な目でスパイスにもなっていないかも。もっとベーコンが入っていても良かったと思う。斬新さに欠けた点を引いて、2点(/5点)。


57
ポプラ/コミュニティストア「伊勢赤鶏照焼まん」 001216

 井村屋の商品群の中ではきっとマイナーな方(笑)皮は普通のあんまんと同じ皮の頂部に「赤鶏」の焼き印があるだけ。
 あんは、伊勢だけに(?)味噌風味。結構味噌がきつい。でも美味しい。鶏は挽肉ではなく、たまに1cm角くらいの大きめの形で入っており、きちんとそれが鶏肉であることを認識できる。好感。その割に訴求力は意外になく、小さくまとまってしまっている印象を受ける。3点(/5点)。


56
プロジェクトX第33回「町工場 世界へ翔ぶ」 001212

 今回は営業屋さんの話。東京通信工業が「世界のSONY」へと躍進することを支えた、営業マン達の物語。
 なんだかもう、格好良くて。どこかナショナリズムの楽しさ、格好良さに通じるものもあるのだけど、もう、それは仕方がないことで。
「SONYを下さい」
 とその周辺のエピソードが、最高。

プロジェクトX第33回「町工場 世界へ翔ぶ」
2000年12月12日放送/NHK/45分
プロジェクトX公式サイト


55
高見広春「バトル・ロワイアル」 001211

 映画化に際し、その暴力表現が国会でも話題になっていたけれど、この作品をR-15指定にしてしまうというのは、少なくとも小説版を読んだ限りでは余りに勿体ない。ここには「何故、人を殺してはいけないのか」という問いに対する、即物的な面からの非常に端的な答えが用意されているというのに。
 例えば「クラスメイトたちが、ただただ恐ろしかった。考えてもみてくれ、自分の周りを殺し屋たちがうぞうぞうろつくんだ。」(P.76)あたりが分かりやすいだろうか。つまり、僕らは死んだら「ゲーム・オーバー」なわけで。にもかかわらず「人殺し解禁」なんてなってしまった日には、もうその通り。恐くて仕方ない。トム・クランシーの作品のタイトルにもあった「恐怖の総和」じゃないけれど、疑心暗鬼ばかりになってまともに社会が動かなくなってしまう。
 この作品は「プログラム」という少々極端な例を用いながら、それをキチンと伝えられるんじゃないだろうか。と、珍しく社会的なことを思ったりもしたのだけど(笑)

高見広春「バトル・ロワイアル」
太田出版/1999年4月21日初版
新書版/1480円/ISBN:4872334523

トム・クランシー(井坂清 訳)「恐怖の総和」上・下
文春文庫/1993年5月8日初版
文庫版/上886円、下905円/ISBN:上4167527197、下4167527200


54
埼玉県立近代美術館企画展「プラスチックの時代 -美術とデザイン-」 001210

 人からお勧めされていたのだけど、結局は「招待券をもらったので」というちょっとネガティブな理由に後押しされて行って来た美術展。プラスチックという技術が可能にしたこと、そのデザインや社会への影響をあつかう前半と、プラスチックを使っていることが特徴的な後半との大きく2つのパートに分かれていた。
 というのはまぁ、お約束の紹介で。
 後半のインスタレーション群がヒット in 自分。
 まずはガラス面に半透明の黄色いカッティングシートを貼るというインスタレーション(和田みつひと「仕切り、囲まれ、見つめられる」)。今回の展示方式ではなんとも言いようのない黄色い空間がそこに。思わず荷物を降ろし、膝を抱えて体育座り(笑)10分近くそこでぼーっとしていた。きっと怪しく見えたに違いない。さらに、白い壁面で囲まれた空間に白い机が置かれた展示(吉田宏「いま、ここに。」)も、展示の隅で膝を抱えてみた。床も白かったら。出来ればリノリウムだったら良かったのに。
 自分の身体が(視界の中に)あることが少し邪魔に思えながら、それでもそこに身体がないことにはどうにもならないというもどかしさを感じつつ。

 パッケージとして非常に出来のいい図録(2000円)を買って、外に出ようとしたときに、エントランスからすでに展示が始まっていたことに気がつかされ、ちょっと衝撃。でも、この図録、置き場所には困るなぁ………。

埼玉県立近代美術館企画展「プラスチックの時代 -美術とデザイン-」
2000年10月7日〜12月10日
埼玉県立近代美術館


53
ホットスパー「マヨお好み焼きまん」 001210

 メーカーは井村屋で、同社のプリンまんと同じ皮ではないかと思う。頂部が平らで、その頂部が焦がされているという。で、中に入っているあんはソース味のかつぶしやら挽肉やらなにやら、お好み焼きのようなもの。もちろん、マヨネーズも入っている。結構美味しくて、自宅の近所で売っていないのがちょっと悔しいのだけど、食べながらふと思った。
 これ、中華まんとして成立させるために具の部分が結構ぐずぐずなのである。それって、お好み焼きじゃなくて、もんじゃ焼きでは? 4点(/5点)


52
ローソン「きのこグラタンまん」「マロンクリームまん」 001210

 きのこグラタンは薄い黄色の皮に、クリームグラタンが入っているような形。きのこの歯ごたえが楽しい。味もなかなか。値段も100円なのが嬉しい。3点(/5点)。
 マロンクリームはクリーム色の皮に、ほぼ同じ色のあん。食べると、ほのかに栗の香りと、たまに入っている栗のかけらの歯ごたえ。味の方は、お菓子などと同じ、典型的なバーチャル栗テイスト。まぁ、こんな物かと思いつつ、バーチャル栗テイスト自体がそもそもそんなに美味しいものではないので、2点(/5点)。


51
サンクス「三色まん」 001204

 その外見は、黄色、白、だいだい色の3つのプチサイズの中華まんがくっついているといえば分かりやすいだろう。160円という値段は、一個50円×3つ+くっつける手間賃10円(笑)と読めばよいのか。味は黄色=ポテト、白=肉まん、だいだい=クリームなのだけど、ポテト味がスパイスが利いていて秀逸。じゃがバタまんとはまた違う味で、是非ともこれ単体で売り出して欲しいと思うくらい。というわけで4点(/5点)。